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私のお父さん。

Posted by さおる。 on 24.2014 日常 20 comments 0 trackback
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私のお父さんが亡くなってしまった。
お彼岸のさなか。
暑くも寒くもない好い季節にあの世に行かれたねと。
そう言われて


これからは、お父さんの誕生日を待つのではなくて
この秋の日を毎年迎えるのだと思う。


黄金に実る稲がたなびく田の縁に、秋桜が同じようなびいている。



10年に渡る闘病の日々の中で、お父さんの毎日は淡々と続き、
その苦しみは耐えるものではなく、与えられ受け止められて、
その中での日常を当たり前のようにお父さんは
生きてきた。



こぼれ陽をあびて時折輝く木々の葉のように、
笑顏をみせてくれた。



幸せな時間が早く過ぎて行ってしまう。



それだけが悲しいと、お父さんは私にそう言ったんだ。


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お父さんの体の形を覚えてしまったよ。この手が。

幼かった私の冷たく冷え切った手を足を、自分の熱で温めてくれたね。 いつだって。

お父さんは小さく細くなって私に身を預けてくれた。
お父さんは大人しくしていたけど、私が体をさすると、ここも。あそこも。と続くようになったね。
もう、喋れんし。えらいだけや。と一言だけ小さく言って。



熱を持った体を後ろから支えて、そっとその背中に頭をくっつけたんだ。

私のお父さん。って心で呟いてじっとしていた。
死を目前にした父に私も甘えてみたんだ。

やせほそった背中は私を肩車したおんなじ背中。




西陽の差し込む部屋に、昼過ぎに川沿いを自転車で走ってとってきた、
コスモスとススキが飾ってあって


疲れきった母は、隣の部屋でねむっていて。
お父さん。お母さんが起きるまでそっとしておこうねって二人で静かにしていたね。






母が目覚めて離れを覗いた時はお父さんは点滴のせいか薄い眠りに入っていて、
ベッドに並んで寝ていて
指を当ててシイってした私に、母は頷いて小さな紙切れを置いて出て行った。





目覚めて、ほんの少ししか見えなくなった視野のなかで、文字を追ったお父さんは

妙子は安心していってまったな。って言った。




畑で白菜をすぐってきます。すぐ帰ります

と読んでくれた。







その窓越しに、庭の灯篭のまえに重ねて置いた。まあるい石の雪だるまがいたね。

苦しみと休息の中で。

二人で見ていた小さなのせかいだったね。




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お父さんは、ピアノを弾いたり、バイオリンも昔弾いていたり、絵も時々描いたりするし、横笛も上手に吹くし
なんでもできるね。って言ったら

なんでも中途半端だからなんにもものにならんのや。
なんて言ってた。


お父さんは大きな声でものを言ったりしないけど、心に残る言葉をくれるんだ。

なくなる二日前に ふうが悪いから。って髭を剃りたいっていって
私が剃刀を探して来た時には、もう電動髭剃りを持ってきて、上がらない手で自分で整えようとしていたね。


するべきことと、できないことは、関係なくていつだって、なんだって人の10倍の時間をかけてやり終えたお父さん。


パーキンソン病を患いながらも最後まで自分の足で歩き、
大きい病院に行ったら、いい治療ができるかもしれないよ。と言っても

何年も往診できてくださる先生に悪いから、そんなことを言うなよ。といって
先生が大好きで信頼を寄せていたお父さん。




最後に別れた日は、
ベッドの上に座っていて、ぎこちなく頭を下げて、ありがとう。
と言ってくれた。



お父さんはもう息をしていないけど、髭は伸びてきたから
ちゃんと剃ってあげたよ。




大勢の人がきて、ふうが悪いのはいやだよね。 お父さん。



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49日の法要を終え、自宅に落ち着いて。

風鈴を外して、冬の花を植える。



お父さんの鼓動が皮膚ごしに伝わっていた、あの暑い夏を通り過ぎて

10月を失って、秋の終わりに辿り着いた。




目の覚めるような秋は。
凍てつく冬の前に訪れる。



お父さんの人生を祝福するかのように、郡上の山々はいっきに色づき、
そして、はらはらと散る。



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今年も黄金の実がたわわにみのる。

この檸檬にも命をみる。

両手一杯の命。




父の形を覚えたこの手でまあるい黄金の果実を受け止める。


http://youtu.be/3nLKXxzVqTY
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プロフィール

さおる。

Author:さおる。
はじめまして。さおるです。絵を描き、詩を詠い、さまよい生きるものです。  
一人語りのような場所ですが、お付き合いよろしくお願いします。
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