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心の中に棲む場所

Posted by さおる。 on 26.2013 絵画 17 comments 0 trackback
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心の中に棲む場所






失ってから気付くんだ。
それがどんな意味を持っていたのかを。



季節に関係なく、いつでも薄暗くて黒光りする広い廊下の先に、診察室はあって
重い真鍮のドアノブを押し広げて室内に入ると、その当時からもうお爺さんだった白衣の先生がいた。

薄い木枠の硝子窓から光は滴り落ちて、
消毒液で満たされたバッドの中で注射器は行儀良く並んでいた。


体操服を胸まで持ち上げた私の鼓動は、冷たい聴診器を通して時を刻んでいた。
名前を呼ばれて手渡された薬は一包づつ紙に包まれた三角形で
目の高さ程の小窓を覗き込むとたくさんの茶色の瓶や分銅計りが見えた。

笑顔で見送ってくれた看護婦さん。
病院から表に出る時も、黒く光る闇を住まわせているかのような、その廊下を振り返らずにはいられなかった。

あの注射器も、アインシュタインに似た先生も、三角薬も、たくさんの茶色の小瓶も
鶴来病院のすべてが、今はもう、心の中にしか存在しない。

あの場所は暗くて怖かったから、光が、はっきりと感じられる場所だったんだ。

自分の鼓動や、体の持つ熱。半ズボンから伸びた傷だらけの両足が、跳ね返るように生命を歌っていた。



怖くて、怖くて、愛おしい場所。

今は、心の中だけに棲む場所。







病院の絵が仕上がりました。
今はもう存在しない、私の大切な場所です。
描こうと思っているうちに突然消えてしまったので

焦って見つけ出した二枚の写真を頼りに、想像を含めて描きました。

絵と詩を同じ題名でかいてみました。







  

プロフィール

さおる。

Author:さおる。
はじめまして。さおるです。絵を描き、詩を詠い、さまよい生きるものです。  
一人語りのような場所ですが、お付き合いよろしくお願いします。
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