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カナカナカナの中で

Posted by さおる。 on 29.2011 未分類 10 comments 0 trackback
とのさまかえる 
 実家の庭に殿様カエルが2匹


カナカナカナ・・・に、ミンミンミーンが加わり、両耳をふさぐような、ウワ~とひびく音が大気を支配している。
カナカナカナのなかで、流れ込む緩やかな微風に揺れて、線香はとぎれることなく、3日間細い紫煙をあげ続けた。

おばが亡くなった知らせが届き、実家へ3日ほど行ってきました。

郡上では、ついこの前まで葬儀場がなく、葬儀は自宅か、お寺で行っていました。
最近は、葬儀場でとりおこなわれることが、ほとんどとなりました。

しかし、都会でのお葬式と違い、とてもゆったりと故人との時間をが流れます。


カナカナカナと泣く中で。

おばは、母の兄のおくさんです。
この家(母の実家)では、みんながわたしのことを、呼び捨てます。

思えば、母は、いとこ達を必ずちゃん付けで呼んでいますが、私は誰からもちゃんをつけてもらっていません。

おばは、表裏のないある意味男っぽい人でした。
間違っていることは、私たちの子供であっても、ピッシっと叱ってくれます。

うそが嫌いで、間違ったことはちゃんと正す人なのです。
長い人生の中で、そこは一番大切なところだと、おばのお葬式に集まった人の多さに、驚きとともに感じるところでした。

カナカナカナ・・・・。
おばは急に亡くなった為、一日は病人として寝かしてあるということです。

普段の寝巻きで眠るおば。
集まったのが嬉しくて、トランプに興じたり、廊下を走り回るいとこの子供たち。

集まる人たちのために母と私は5時から、おはぎを100個くらいと、から揚げや、かき揚げなど
山ほど、作って運び入れました。

カナカナカナ・・。
私の母校の郡上高校が、高校野球の選出大会でベスト4になり、 準決勝出場に向けての試合が流れています。

1対0でまけたまま、9回に突入。
何番は、だれそれの子だとか、孫だとか、会話しつつながめています。

しかし、残念ながら、見せ場がないまま、球児の夏は閉じました。

カナカナカナ・・・。

私が、あ~~残念やったな。  というと、
親戚のおじさんが

「ちょうどええくらいや。 」




カナカナカナ・・・。




通夜の日も、なるべく遅くと、4時に細工の施された美しい棺におばをうつしました。
旅が好きだったおばにメガネも、帽子もかばんも 持たせ、若草色の地柄の入った無地の
着物を羽織っています。

母の短い居眠りの合間にも、おばは旅行の身支度でさっそうと現れたりします。


出棺を見送り式場に向かいました。

カナカナカナ・・・。


式場では、大勢の人の中で
何年ぶりや。
何十年ぶりや。
という会話が聞こえてきます。

みんな時空を超えてどこへ行っていたのでしょうか・・。
わたしも30年ぶりとかの親戚の方にお会いしました。

お。さおるか。 きれいになって~。おっきくなって・・・

と答えに窮する 言葉をかけてくれます。

。。。大きくって・・・。いまさら言われても。。。
わたしもう 死ぬ方向に向かってるんだけど・・・。


通夜のしみじみとした、暗い色調の中、祭壇に飾られた花と、再会に思わずあがる声が 際立って
一瞬、周りを照らすようです。

カナカナカナ・・・。

そして、その晩も、おばが寂しくないように、自宅へ連れて帰り、親族でおばをかこんで朝を迎えます。

別れの朝、 雨の朝となりました。



 
従姉妹とお嫁さん三人に絽の喪服を着付けます。

すっと襟を抜き、襦袢の襟の白は控えめに。

送る姿が、美しくあるように・・・






カナカナカナ・・・・カナカナカナ・・・  雨の強弱にあわせて、 

カナカナカナ・・・

カナカナカナ・・・。




せみの声は、あの遠い夏から、途切れたことはなかった。


おばと一緒に笑った夏。


カナカナカナ・・・。


カナカナカナ・・・



移り行く、不思議。
生きて消えていくこと。

たえまなく、泣き続けるカナカナ。




自宅へ帰った晩、高3の息子が、帰ってこなかった。

午前2時にメールをもらってから、安心して眠りについた。


けさ、

「おはよう。」とメールが来た。

わたしも、
「おはよう。」と。返事をした


カナカナカナ・・・。

カナカナカナ・・・。

彼の生きる世界はどんなだろう。




カナカナが泣き止まない、ここにいて。





ルーピーの墓  
ルーピーのことはまだ忘れない




  

プロフィール

さおる。

Author:さおる。
はじめまして。さおるです。絵を描き、詩を詠い、さまよい生きるものです。  
一人語りのような場所ですが、お付き合いよろしくお願いします。
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